2人の仕事で不倫を疑われる

大学中に半年ぐらいアルバイトした喫茶店があったのですが、そこのマスターがとても気持ち悪い人でした。小さい喫茶店で本格的なコーヒーを出すお店でほとんどが常連のお客さんばかりといったお店でした。

私は超がつくほどのコーヒー好きなので、お店の求人案内を見て、何となくアルバイトを申し込んだのでした。でも、とても小さいお店なので、だいたいがマスターと自分の二人体制です。実際働いてみると、かなり窮屈に感じました。直ぐに「辞めたいな…」と思いました。

でも採用されて直ぐに辞めるというのもきまずいので、我慢して続けていたら、そのマスターから自分の子供の家庭教師もお願いされました。「こんなに小さい喫茶店でそんなに儲かるのかな?」と学生ながらに不思議でしたが、そのマスターからはステイタスある生活スタイルを感じさせられる話しをくどくど聞かされていました。

子供には取り敢えず学力を付ける事を第一に考えていたようで、まだ小学生でしたが難関中学を目指しているとの事でした。進学塾にも通っていましたが、算数の成績が芳しくないから家庭教師をして欲しいとの事でした。

当時その喫茶店のアルバイト以外に塾で個別指導のアルバイトもしていたので、教えるのは大丈夫な気もしましたし、提示された時給も良かったので簡単に引き受けました。喫茶店のアルバイトは週に2、3で家庭教師が週に1だったので、そのマスターと顔を合わせる頻度は多いように感じていました。 そして更に、その子供に英才教育か何か分かりませんが、小さい頃からバイオリンを習わせていて、その発表会とかにも招待されたので行ったりもしました。

そうこうしている内に、子供の誕生日会や、家族で夜ご飯を食べに行くとかにも声をかけられるようになり、自分の時間を割かれるわけですから、内心「嫌だな…」と思いつつもどんどん断られなくなり、渋々行くようにしていました。そのマスターも癖のある人でしたが、その奥さんもちょっと変わった人と言うか一癖あるような感じの人でした。個人的に好きなタイプの人ではありませんでしたが、そんな感じで関わるようになっていったので、仕方なく仲良くするような感じになっていきました。

そして夏休みになり、そのマスターの別荘に家族で泊りがけで遊びに行くから一緒にと誘われたので、「もう限界」と思い、「喫茶店のアルバイトも家庭教師も辞めさせて貰いたい」と言ってしまったのです。そうしたら、マスターは引きとめはしませんでしたが、人が変わったように悪態を付かれました。そしてもっと怖かったのが、その奥さんからマスターとの不倫を疑われたのでした。家庭教師の後に言いに行ったら、子供のいない別の部屋に連れて行かれて「まさか不倫とかしているんじゃないでしょうね」みたいな事をいきなり言われたのです。

そのマスターが凄くハンサムとかならまだしも、冴えない小太りの中年おじさんなのに、どうやったらそんな発想になるのかと驚きのあまり直ぐに声が出ませんでした。そうしたら「そういう事」と言われたのです。確かにあの小さい喫茶店でお客さんがいなければマスターとアルバイトは二人っきりになりますが、そういう関係になるにはそれなりの男性でないと難しいと思うのです。 「以前にそういう事でもあったのだろうか?」とも想像しましたが、あのマスターでは難しいと思いました。「そんなに不安ならあんな小さい喫茶店をさせなければいいのに」とも思ってみたり、「あんな小さい喫茶店経営でどうやったらこの生活が 成り立つのだろう」と不思議に思ってみたり、最後まで腑に落ちませんでしたが、結論として、あんまり小じんまりした職場では アルバイトはしない方が安全だという事です。